店主の日記/2018-09-12
板金カメラ
リコーフレックスの修理を承りました。正確に言うと1950年に発売されたリコーフレックスⅢ(3)の改良型のMODEL Ⅵ(6)で、ファインダーのルーペが大型化、裏蓋も二重ロック化されたものです。
このカメラはそれまでの一般的な2眼レフのアルミダイカストのボディ、カム繰り出しのピント合わせ機構を持ったものとは違い、プレス機で鋼板を加工し、わずか6本のネジで組み立てられたボディにヘリコイド繰り出しのレンズ回転式ピント合わせを採用、しかもビューファインダーレンズ側との同期はレンズ外周につけれたギヤによる方法です。生産工数も少なく大量生産できるため、販売価格も安く、大ヒットしたカメラです。フィルムセットもマガジン式となっており、カメラ内のレイアウトも無駄なく出来ています。このため、他の二眼レフと比較し、小型・軽量で扱いやすいです。
この時代、120フィルムの6×6サイズはフィルム価格が高いものの、引き伸ばし機を使わずともベタ焼きで写真となることから2眼レフが流行したと聞きます。このカメラの誕生は日本のカメラ普及を促進したことは確かです。
この個体は大きな問題は抱えていませんでしたが、たった6本のネジで組み立てられているネジの1本がなくなっており、このネジを探すのが一番の問題でした。現在のネジとはネジの規格が違うため、市場にはこのネジはありません。当店のこの当時のジャンクカメラから探し出しての修理となりました。
オーナーは浜松市内の会社にお勤めの若い男性。オークションで手に入れたとのことでしたが、フィルムカメラは初めてなので使い方から教えて欲しいとのことでした。しかし、さすがは技術者、パッと理解して新しく得られたフィルム写真の知識に満足そうなのが印象的でした。
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