店主の日記/2017-02-16
貴婦人登場
カールツァイス・コンテッサ35がカメラ修理にやってきました。コンテッサとは貴婦人という意味だそうです。デザインもシンメトリックでコンパクトにまとまっており、貴婦人というのにふさわしい外観です。連動ではないですが露出計までついています。
このカメラの最大の特徴は距離計の機構にあります。レンズ上の小さな丸窓内の2枚のくさび形プリズムが回転してファインダー内の二重像を合わせるものです。ドレーカイルプリズムと呼ばれています。これが他社には見られないものです。
この2枚のくさび形プリズムをそれぞれ逆方向に回すギヤ機構一式がシャッターユニットに固定されており、ギヤはピント合わせリングと連動、ピントリングはレンズと固定されていてレンズ前玉をネジ(ヘリコイド)で繰り出す仕掛けになっています。この機構のカメラ修理は大変慎重、且つ根気よくやらなければならず、神経を使います。
またフィルムの巻き上げが終わっていないとシャッターが切れない機構になっています。これはカメラの底側にあります。更に底側のフィルムカウンターをスタート位置に合わせてフィルムを巻き上げると自動で1枚目でストップする様にもなっている便利なカメラです。
この個体はシャッターが切れない状態でした。動作観察の結果、底面の機構のレバーに動きが渋いところがあり、経年による潤滑油不足で発生したようです。当初、シャッターユニットを疑ってドレーカイル機構を外してしまったのでピント合わせに根気のいる作業を必要としてしまいました。
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