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店主の日記/2018-10-03

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Tag: カメラ修理 フジカ オートM

ファックスでお見積り

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電話でカメラ修理のお問合わせをいただきました。カメラは50年以上前に買ったもので、当店より車で1時間ほどの掛川市より来店したいとのこと。また近所の電気店で修理ができないか尋ねたところ、当店の電話番号だけを教えてもらったということでした。電気店に修理の依頼に行くと言うのも変ですが、考えてみればカメラ店というのは最近ほとんどなく、カメラは家電量販店で売っています。時代ですね。

親切な電気店さんはネットで当店を探し当てて紹介されたのではないかと思います。お客様はネット環境はないので、ファックスで住所を送ってくれとのことでした。住所と概略見積りはファックスで送り、カメラも宅配便で送ってもらうことといたしました。

送られてきたカメラは1962年に発売されたフジカ・オートMで、元箱入り、取説や製品保証書、当時の値札まで入っていました。このカメラはコパル社のコパルマジックというシャッターが採用されており、シャッターの分解修理は大変難しいものです。通常のいわゆるEEカメラはシャッタースピードを選ぶとそれに最適な露出になるように絞りが自動で調整されます。それでも露出不足になる時には露出計の針がレッドゾーンに入ったり、あるいはシャッターが切れないようにロックがかかる等の仕組みがあります。

このコパル・マジックシャッターは例えば絞り開放でも露出が適正にならない場合は、シャッタースピードも変化し、例えば1/125が1/60になる仕組みです。それを全て機械的なカラクリで達成しています。電気的なものはセレン光電池でメーターを振らせるという部分のみです。取説にも「シャッタースピード1/125、絞りオートにしておけば、あとはカメラに任せればいい」と言った、カメラの操作をあまり考えさせない説明がされていました。

この個体の故障の原因はシャッターの粘りでした。複雑なギア機構のマジックシャッターの分解は一歩間違えれば再調整は至難の技となってしまいます。修理の履歴もありましたが、他のカメラ機能はほどんど問題ない様でしたので、シャッターを分解せずに溶剤でシャッター羽根の油分を拭き取る方法といたしました。もちろんこれも慎重にやらないければいけない作業です。大概シャッターチャージされて、戻る(切れる)時に動かなくなっていますから、羽根清掃中に突然動き出します。

シャッター羽根の粘りが取れると快調にシャッターが切れ、露出も適正です。お客様にはファックスで完成報告をして、代引き宅配便で返送させていただきました。実はファックスのお客様は初めてでした。

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