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店主の日記/2018-04

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2018/4/26 (木)

ファインダー覗くと像がゆがんでいる

カメラ修理・ペンタックスLX

「先日まで異常は感じなかったですけど、ファインダー(FA-1)の中でカラカラ音がします。ファインダ覗いても像がゆがみます。内部のミラーが接着はがれのようです」

ということで、修理を承りましたが、像が歪むというのがどういう意味なのかわかりませんでした。ペンタックスLXは当時の旭光学創立60周年を記念するプロ仕様高級35mmカメラとして1980年に発売したシステムカメラで、ニコンF3やキヤノンNewF1と並ぶ、電子化されたプロ用モデルです。このカメラの電気系修理のお取り扱いはしていませんが、ファインダーの光学的問題ということでお預かりしました。

ファインダーを覗くと確かにその通りで像が歪んでいます。早速、アイレベルファインダーを取り外し、分解していきました。分解すると、「あー、そういうことか!」と思わず納得の状態でした。なんと、接眼レンズが外れかけて傾いています。爪先で触るとコトっと外れてしまいました。このファインダーには視度調整がついていて、この接眼レンズが前後する機構がついています。そしてその接眼レンズはその機構のフレームに嵌っているのですが、これが接着剤で固定させているだけなのです。振動等で接着面が剥がれて傾いてしまったと思われます。

簡単な修理にとどまりましたが、こんなこともあるんですね。こちらも勉強になりました。



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2018/4/18 (水)

バリエーションが多くてうまく整理できない

カメラ修理・ツァイス・イコンタ521

イコンタ521の修理を承りました。ツァイスが手がけた最初のカメラと言われています。イコンタ521は1929年に発売された520に続き、1938年に発売されたものです。レンズの違いもあり、またフィルムサイズや連動距離計つきなどを含めるとうまく整理できないですが、店主なりの理解は「スーパーイコンタ」と呼ばれると連動距離計付き、「セミイコンタ」というとフィルムサイズが6×4.5のセミサイズ、「イコンタシックス」というとフィルムサイズが6×6というぐらいです。連動距離計付きでセミ判なら「スーパーセミイコンタ」というような呼び方になります。
では、数字での呼び方ですが、520からスタートしてモデルが出ると一つ数字が増えるということのようでフィルムサイズは6×4.5のセミ判を基準にして、「/16」が6×6判、「/20」が6×9判、530番台のものが連動距離計つきのスーパーイコンタになるようです。ですからこの個体は「Ikonta 521/20」ということになります。

ツァイスという会社自体もやや複雑で、ドイツが東西に分かれていたいた頃は東側がツァイス・イエナ、西側がツァイス・オプトンという具合で、更に戦前からのレンズのブランドがバッティングし、イエナがこのブランドを使えない頃は、例えばテッサーが「T」とだけ表示されたものもあります。カメラの製造は製造会社であるツァイス・イコンが担当しており、このカメラにも「IKON」の銘が入っています。このイコンブランドは販売地域を分割することで東西ドイツの双方が使ったようです。

この個体はレンズ:ノヴァー75mmF4.5、シャッター:コンパーで、当店のレピーター様よりのご依頼です。症状はシャッタースロー及びセルフタイマー不調、レンズ後玉くもりということでお預かりしました。レンズくもりは拭いただけでは取れず軽く研磨をすることになりました。また、ファインダーに6×4.5の樹脂枠が嵌っているので取り除いて欲しいとのことでした。6×9判なのになぜ?と思いましたが、これも調べると中枠を取り付けることにより6×4.5判16枚撮りでも撮影可能だったらしく、その中枠はなくなってしまったということだと思われます。

80年も前のカメラです。そしてこれからも写真が撮り続けられます。素晴らしいですね。



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2018/4/12 (木)

オークションで購入して分解しちゃった

カメラ修理・ヤシカ・mimyS

「”セレンは動いてるようですがシャッター粘りのため要修理です” と書いてるものを購入し、自力で粘り修理をしようとしましたが、断念。現在前玉をはずした状態で保持していますが、修理は可能でしょうか?」

と、言うご依頼です。

前玉を外してしまうとヘリコイドのねじ込み位置がわからなくなるのでピントが合わなくなります。まあ、この程度の小さなカメラの、しかもゾーンフォーカスなら大丈夫だろうと考え、部品が全部揃っていること、やや割高な修理になることをお伝えし、お預かりしました。現物確認すると、何とかなりそうなのでお引き受けしました。

ヤシカ・ミミーSは1963年に発売されたミミーの後継機で1964年に発売されました。ミミーは単速(1/60)シャッターの固定焦点のEEですが、ミミーSはCOPAL BEEMATというプログラムシャッターを搭載し、そのため外観デザインも若干変更されたものとなっています。ピントはミミーと同様の28mmF2.8のレンズですが、ゾーンフォーカスとなっています。

プログラムシャッターというとかっこいいですが、シャッターと絞りを兼ねた、シャッター羽根の開度で絞りも決めてしまうという簡易的なものです。ヤシカハーフ17もこのプログラムシャッターではなかったかと思います。こちらはF1.7の大きなレンズを持ち、セルフタイマーもついた豪華版ということでしょう。

この個体は当初のお話通り、シャッターの粘りがありました。分解されているのでレンズのピント出しの確認作業を行いました。またセレン光電池式のカメラに共通する出力落ちでのオート露出値不良もありましたが、何とか写真が撮れるレベルです。マニュアルモードもありますのでセレンがダメでも写真を撮ることはできます。

これからも長く使えると思います。



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2018/4/2 (月)

付加価値・差別化の話ではないです

カメラ修理・ニコン・ニコマート・nikon・nikomatEL

ニコマートELの整備を承りました。ニコマートはニコンの中級機につけられていたブランド名で、始まりは1965年の二マートFS/FTからです。このELは1972年より発売された電子シャッターを搭載したニコンでは初めての絞り優先機です。ここより電子シャッターのFEシリーズとマニュアルのFMシリーズとへ進化していきます。

店主個人の考えですが、このニコンの中級機シリーズは最初からコパル製シャッターユニットを採用しており、特にマニュアル系統のFMシリーズは最後のFM3Aまでシャッターユニットの進化に合わせてニコンの機種が出た様な感じがします。またコパルは他社にもシャッターユニットを供給しており、これによりカメラメーカー各社のコモディティ化が進んでいたと考えます。ただ各社のレンズとそのマウントの違いでユーザー側のコモディティ化が進まなかっただけなのではないかと思っています。

さて、このELのトップカバー内のプリズムの上にはディスクリートの電子部品がのった基板が鎮座しており、時代を感じさせます。また、なんと言っても電池ボックスの位置がユニークで、なんとミラーボックス内にあります。ちなみに電池は4LR44を1個使います。電池交換はやはりやりにくいものとなっています。

この個体は動作に問題がないことを前提にモルト交換、ファインダースクリーンと外観清掃の作業を行いました。あまり使われていなかったのか大変綺麗な状態でした。これからも綺麗な写真を撮り続けてくれると思います。



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